20180819 「技術書の作り方勉強会」に参加して来ました!
みなさまこんにちは。
はてな8つめの記事は、引き続きイベント参加のメモになります。
今回は、こちらのイベント(勉強会)に参加して参りました。
最近は、ほぼ何らかのイベントでハッシュタグを付けてリアルタイムにイベントの内容がシェアされますし、Togetterで速やかにつぶやきのまとめができたりと、あえてブログを書かなくても良いような状況ですが、わりとじっくりメモ書きをしていたので、自分のためにも記事に起こしておこうと思います。
はじめに
さて、このイベントに参加した目的ですが、メールで開催の案内を受け取ったからです。ということは、実はわたしも10月の技術書典に出店を申し込んでおり、当選した...ということになります。*1
すでに当選の皆さんは場所や内容を公開したり、執筆に取り掛かっていたり、もくもく会などで粛々と原稿に向き合う…ということをされていると思います。
ですが、わたしは全く手を付けておらず....。
勢いで申し込んだはいいものの、「さて、どうしたものか?」「原稿落とした、は許されるのか?」「コピー本でも大丈夫なのか?」といった、やや後ろ向きな考えで、まずは話を伺ってみようということで、イベントに申し込みをした次第です。
会場の様子
イベントの会場は、六本木のメルカリ様にご提供いただきました。
そもそもメルカリ様に足を運ぶのは初めてですので、それだけでテンションが上がります。
今回は日曜日の午後でしたが、移動と会場へのアテンドの関係で12時45分には会場に向かわねば...ということで、家族の協力を得て、母一人六本木に向かいました。
夏休み&日曜日ということもあり、ドラえもんのオブジェで笑顔を見せる子どもさんたち、ご家族を目にすると、ちょっとだけ罪悪感がございました.....。
ありがとう!旦那様&子どもたち!
母は薄い本?じゃないけど本を作る勉強に行くよー!
さすがに日曜日ですので、オフィスフロアには簡単には入れず。
こうしたイベントの場合は、会場をご提供くださる企業の方のご協力(アテンド)が無いと難しいのはよくわかっていますので、週末おやすみのところをご協力くださる点、本当にありがたい限りです。
場所は18階、イベントスペース的に広くて開放的なところで、快適にお話を伺うことができました!
お話してくださった方
イベントの背景や歴史、書籍の作り方まで、通しでお話して下さったのは、TechBooster、わかめさま(@vvakameさま)です。
入館前の案内から、お話の途中の参考サイトのリンク情報から、色々とありがとうございました。
また、達人出版会からは、高橋さま(@takahashimさま)が、著作権に関してのお話をしてくださいました。
どちらも、参加されたみなさんがTwitterに呟いてくださったり、ハッシュタグを見て参加されていなくても流れを追って情報を寄せてくださる方がいらして、最終的にはTogetterにまとめられています。
上記ををご覧いただくのが良いと思いますが、以下、わたしも簡単に書き留めたことを載せてみます。
お話のながれ / 内容のメモ
箇条書き形式ですが、このようなお話を伺いました。
技術書典での同人誌について
まず、技術書典は「同人誌を販売」するイベントではありますが、一般のコミケで扱うような同人誌とは若干性質が違う、とのこと。
- コミケでは「60ページあれば凄い世界」だが、技術書の同人誌の場合は、100ページ以上になる場合もある
- ページ数は多めなのに対し、販売部数も通常のコミケより多くなっている
(参加サークル向けアンケートでは、7割くらいが100部近く販売している) - 30〜60ページで100〜200部くらい搬入するところが多い
同人誌 = 薄い本、というイメージがあったのですが、技術書の場合はソースコードや図説を載せたり、共同執筆があったりで、意外とページ数が多くなるようです...。
*2
扱っている内容の傾向は?
同人誌なので「好きなものを書く」「自分が広めたいものを書く」ということが一番だそうですが、大きくわけてこの2つのパターンだそうです。
1. その時点で比較的新しい、鮮度が高い技術・最新技術について扱う
- 技術が生まれてから出版までには時間がかかる
- 商業誌だとなおさら執筆編集に時間がかかり、しかも本が売れない現状では、非常にニッチな話題の本よりは、一般向け・初心者向けの本のほうが商業誌として扱われやすい
- このため、イベントの直近での情報を反映しやすい
情報の鮮度としてはSNSでのつぶやき&拡散、次にブログへの執筆、執筆(同人誌)の順だそうです。イベントに合わせたタイミングで、最新の技術情報を盛り込むなら同人誌のほうがスピード感がある、というのは確かにその通りですね!
2. 自分が長年取り組んでいたものについての経験を扱う
こちらら、書き手のモチベーションというか、「わたしはこの技術が大好きだからみんなに使って欲しい!」的なものが根底にあります。
どちらにおいても、執筆してみんなに見てもらうことで、自分の取り組んでいるものや自分に対して関心を持ってもらう、フォロワーさんを増やすということに繋がります。
TechBoosterさまのサークルでは、基本は1の「最新技術」を扱う方針だそうです。
毎回30名くらいが関わって執筆しているそうで、実際に何を書くかは、当選後の企画会議で練っていき、みんなでテーマを出して行くそう。
自分は書けないけれど、テーマを出すことで「これなら書けますよ」と言った感じで誰かが拾ってくれることがあるそうでした。*3
ターゲットはどうする?
上記のような自分の発信する情報に食いついてくれる人を増やすためには、やはりその内容にあったイベントを選んで出店することも大切、とのことでした。
最近では、技術書も扱えるイベントは、夏冬のコミケと春秋の技術書典のだいたい計4回。
毎回参加の場合もあれば、在庫状況や最新技術の仕込み具合を鑑みてスキップというパターンも色々ある感じです。
また、技術書専門のイベントと言うと、いわゆる「コミケ」慣れ?な方ばかりではなく、やはり一般の(エンジニアの)方も多くいらっしゃるそうです。
客層・来場者層が違う分、これがサークル当たりの販売部数や、購入者一人たりの購入総額・総数も違ってくる(多分一般のコミケよりも多くなる?)ことに繋がるようですね...。
部数 / 予算 / 単価に関して
冒頭では100ページ以上の場合もあるとのことでしたが、では、実際の部数はどれくらいか、といったあたり、印刷製本の費用も含めてのお話もありました。
- 会場で簡単に挙手アンケートを実施。コピーボンにする?オフセットにする?オンデマンドにする?と言ったあたり....。
- 予算を決めて発行部数を検討すると良い
- コンビニやセルフ印刷でコピー本も良いが、実際の工数を鑑みると、印刷製本と搬入までしてくれる印刷所で頼むのはそんなに高くならない (っぽい)
実際の印刷費用に対して、販売価格はどうするかですが、こちらについてはこんなお話が。
- みなさん人件費はタダと思ってらっしゃるようですが、やはりそこは価格に載せましょう
- 地方からいらっしゃる方は、移動や宿泊費用も鑑みて、その分ペイするように価格設定するほうが良いでしょう
- わりと購入者のみなさんお財布に関してはおおらかなので、500円とか1000円とかキリのいい価格で買ってくれる感じ
- 会場で挙手アンケートをしたところでは、500円、1000円、1500円といった区分で、1000円で設定の方が多かった感じ
- 印刷所では、真面目に早めに入稿すると割引がありますよ!
みんな良い執筆者を目指しましょう!
などなど。
さて、技術書典では、バックアップ印刷所(執筆者を支援してくれる印刷所)として、以下2つの印刷所に協力していただいているそうです。
お話のなかでは、部数xページ数の料金表を眺めながら、「手間や搬入、それに仕上がりを考慮すると印刷所のほうがいいのでは」という感じでした。
わたしは個人で考えていることと、初めてなので20〜30ページくらい、目標は50部程度、ソースコードは(あまり)載らない想定で考えているので、3万円くらいでしょうか....?
最初コピー本で、と思ったものの、家事育児仕事の合間の作業や搬入は現実的ではなさそうなので、印刷所にしよう...と考えを改めました。
印刷所でお願いする場合と、コピー本については、こんなお話も。
- 印刷所ではオフセットとオンデマンドの2つがあるよ
- 部数が多かったり、後日再び印刷&再販する可能性があるならオフセット
- オンデマンドは部数が少ない時に良い
- オンデマンドも質が上がっていて、技術書であればオフセットとさほど遜色ないかんじがする
- テーブルに見本があるので参考にしてください
- コピー本の場合は自分で製本や箱詰め搬入が要るので大変
- 本当に少なめだったり、製本した際の仕上がりの目安が欲しいなら、セブンイレブンのマルチコピー機がおすすめ!
なお、今回参加している方が、印刷所の紙の見本を持ってきてくださいました!
コチラもありがとうございました!
ディレクションやモチベーション維持のための工夫
TechBoosterさまの例だと、当選したあとは、執筆会議、分担での執筆、レビュー、校正、入稿までで約1ヶ月くらいのようです。その間、デザインも平行して行われるそう。(思ったより早いんですね…)
- 当選確定の段階では、実は内容は決めてない!決まってからスタート
- 確定したら、イベントドリブンで進む感じ
- 現時点で執筆中もしくは原稿が上がった方は優秀!
- 書き始めた、という方も優秀!
- 章立てくらいが決まっている、という場合はまずまずのペース
だそうで、ここでもわたしはやや顔色が悪くなりました....。
早め早めに動くのは、やはり共同で作業、テイストを揃えたり編集したりレビューしたりする作業も鑑みないといけないからで、その作業を少しでも早く楽にするために、Re:VIEW+共同リポジトリ+CI+プルリクエストといったワークフローを取っているとのこと。
こうした執筆環境についても色々教えていただきました。
- Markdownで使い慣れたエディタで書くのはエンジニアに優しいけれど、Markdownは方言があったりブラウザで見るのに特化しているのがやや難点
- SphinxやTexも若干いらっしゃる
- わかめさまの推しはRe:VIEWで、ビルド用のコンテナも用意したので使ってみてね!とのこと
- Write once, publish (read) anyware. なものがよい
- 絵が多いとか執筆者が少ない場合はInDesignやWordもいいでしょう
- 校正がしやすいのは、やはりWordや一太郎
印刷所への入稿はPDFになるようですが、販売のことを鑑みると、epubといった電子媒体でも見やすい形式になるものが良さそう。
ここでは、「電子媒体での販売のほうが多そうですが...?」といった質問がありましたが、実際は 紙:電子 = 8:2 くらいの割合で、購入される方は紙媒体が多いそうです。
TechBoosterの場合は、先の通り「その時点の最新技術」を追いかけて出版のスタイルのため、在庫をかかえても後から売れるかと言っても難しいところもあるそうで、イベント用に印刷したら、その後は電子媒体で販売するパターンとのことでした。
電子媒体の情報は、たとえば名刺の裏に刷る、など。
モチベーションアップについては、こんな案が。
- 憧れの絵師さんにそれなりの額(おいくら万円とか)を払って表紙や挿絵を描いてもらう
- 描いてもらった以上、必ず仕上げるんだと追い込んで頑張る
- ただし、あくまでも技術を語るための本なので、イラストがメインではないことに注意しましょう
執筆する意味は?出会いはあるの?
- 技術の向上
- 好きな分野を広めるため
- 同じ分野・技術を持った人同士のコミュニケーションのため
- 交流という意味では、職場、勉強会、カンファレンスに続く場となってきている
いわゆる恋愛とかの出会いというよりは、エンジニア同士繋がるために利用できるといいですね、とのことで、配置はジャンルが近いサークルが並ぶようにしているそうです。*4
執筆するレベル / 本を出せるレベルじゃないのですが?
このあたりは、うんうん大丈夫でしょうか?と思いながら聞きました。
- 本を出せるレベルじゃないし…と言っても、やらないとレベルはあがらない
- ガッツリと識者にレビューしてもらって質のすごく高いものを出すのは一握り
- 同人誌から商業誌への流れも一握りなので心配なく
- 参加して赤っ恥をかいて経験して、成長するぐらいの気持ちでいいですよ
- 毎回人数も増えてジャンルや対象者の裾も広がっている
- 当初はニッチな内容がおおかったけれど、初心者向けのものも増えてますよ
予算やお金周りでの注意点
- 今回は10月の3連休の最終日なので、つり銭切れに注意!
- 連休前に小銭やお釣りを用意しておきましょう!
- 予算は参加人数や交通費、備品といったものも考慮して
- 入稿の早割りも頑張ってみましょう!
なお、決済に関しては、今回の会場が電源が確保できないことや無線が用意できない、スマホの通信環境があまり良くないかもしれないといったことから、かんたん後払いが利用できるかどうかは、運営からの情報待ちとしてくださいといった趣旨のお話がありました。
また、わたしはうっかりしていたのですが、売り子が一人だと辛いですよ...とのこと。
これは、休憩や休憩中の売り上げや本の管理に穴があくというリスクもあるわけですね...。(このへん悩みどころです)
著作権についての注意
最後は、達人出版会の高橋さまからのお話でした。
- コミケは比較的著作権には寛容で、二次創作を許容する文化があるけれど、技術書の場合は同人文化に馴染みのない方も参加している
- 技術書典では「法令遵守」でお願いします
- 引用は適切に、出典を明記して、どちらが主なのかちゃんと分かるように
また、人目を引くデザインやキャラクターを使いたくなることはあるけれど、やはりこちらも配慮してね、とのことでした。
- 他の書籍の表紙のマネをしたり、類似なデザインはしないように
- 電子媒体で販売することになった場合、購入者が誤って購入してしまったということがあると困る
- 最悪、被害(誤購入)した人が、自分の作った側でない方の出版社に問い合わせて揉めることになってしまう場合がある
- 他のキャラクターは勝手には使わない
- 二次利用が許可されているキャラクターも、利用規約に沿って使うこと
- 可能ならオリジナルなキャラクターを
- そもそも技術書なのだから、売りは技術。そのキャラクターは必要なのかも考えてみましょう
こちらも改めて考えさせられました...。
質問タイム
質問についても覚えている限りでいくつか記載しておきます。
Q. 100部も売れるとは思えないんですが...?
- 10月は参加団体も2.5倍、会場も広くなっている
- お客さんの財布がそのまま2倍になる...というわけではないが、来場者は8000くらいを見込んでいる
(でも、毎回予想を超えて増えるので、もっといくかも) - 新規のサークルさんを増やしているので、出店者の知人友人があらたに来てくれる可能性がある
- 会場が広い分、前回は人の多さに諦めて帰ってしまった方がいらしたようなので、今回はそうした方を拾える可能性がある
ただ、運営側も完全には人数が読めないので、「安全側に倒して、予算的に困らない程度に印刷して、再販可能な場合は電子媒体で」がいいのでは、とのことでした。
Q. サイズはどれがいいですか?
- A5とB5になるけれど、これは内容次第
- B5はソースコードを掲載するパターンでは読みやすい
- A5は日本語の文章が読みやすい
- 搬入や在庫の管理、スペースをどれだけとるかといったあたりを考慮して決めるのがよさそう
Q. 本のレビューアーさんはどうやって探せばいいですか?
技術書なので、誤った情報は出したくない、しっかりレビューしてもらいたいけど、レビューアーさんが見つからない...と言ったお悩み。
こちらについては、TechBoosterの例と参加者の方の事例が。
- TechBoosterでは、関与する人数が多いので、自然にだれかしらレビューしてもらえる
- (参加者の方から)Twitterで「こんな本を出すのですがレビューに協力してくださる方を探しています」といった趣旨でつぶやくと良いそう
- 特に、「急募!」というキーワードが効くらしい!
- 同人誌の場合は報酬・謝礼はあまり要求されず、善意ですごい方がレビューしてくださることもある
なかなか優しい世界が展開されているようです。
Q. フレームワークやライブラリのロゴを利用する場合は?
Q. フォントの利用は問題ないですか?
などなどでした。
勉強会で予定されていた内容は、15時半前には消化され、あとは17時までは会場を借りられるため、歓談や執筆、情報交換に使って良いとのことでした。
わたしはお話が終了した頃合いで退出させていただきました。
個人的に学んだこと・注意点
以上、メモしておいたことをだいたい載せてみました。
やはり技術中心とは言い難いのでどうしようか…という不安はあります。
ただ、申し込みから始まって、今回のような勉強会もそうですし、執筆、印刷、販売と撤収までを一通り体験したいという気持ちがあるため、「体験すること」を第一の目的と考えてやってみたいと思っています。
そういう意味でも、今回は非常に貴重なお話をいただきました。
ぼっちでのやりくりは、まだ悩ましいのですが、うまくパートナーを巻き込んで行けたらなあと思っています。
※肝心の書く内容は...。ぼんやりとしか決まっていません><
おそらくRedmine成分多めの今までのブログやつぶやき、Qiitaに上げているネタや、働きママとしてなんとか生き抜いた経験あたりを書いてみようと思っています。
以上、この記録が何かのお役にたちましたら幸いです。